英国の今を切り取るスナップ本 ブレイディみかこ「ブロークン・ブリテンに聞け」【本・感想】

今回は私の大好きなブレイディみかこさんのエッセイ集「ブロークン・ブリテンに聞け」についてご紹介します。

こんな人におすすめ

  • 英国の現在を知りたい方
  • 日本の今を他の国と比較して考えてみたい方
  • ブレイディみかこさん好きの方

どんな本?

「ブロークン・ブリテンに聞け」とはブレイディみかこさんが講談社の「群像」にて2018年3月号から2020年9月号の約3年連載していたエッセイをまとめた本です。

ブレイディみかこさんは普段あまり長期での連載は行っていないそうです。
というのもご自身で自分のことを飽き性と言っており、2年も連載が続くと書くのがつらくなってしまうんだとか。

ですがこの本は3年間というブレイディみかこさんの中ではかなりの長期連載です。
長期で連載を続けることができた理由としてブレイディみかこさんは「英国じたいが滅多にない激動の時期にあったからではないか」と振り返られています。

そんな激動の時代の英国について書かれた本です。

テーマ

ブレイディみかこさんはこれまでも多くのコラムやエッセイ本を執筆されています。
最近で言うと「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が有名だと思います。

私はブレイディみかこさんの本にはそれぞれ主役とテーマがあると思っています。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」では子どもたちを通してエンパシーや多様性を取り扱っており、「ワイルドサイドをほっつき歩け」ではおっさんたちを通して労働階級やEU離脱などに焦点が当てらていたと思います。

ではこの「ブロークン・ブリテンに聞け」では何がテーマになっているかと言うと、上で例に挙げた本に比べると広い分野を取り扱っていますが、英国で過ごす人々と英国のリアルな今という感じなのかなと思います。

何か一つのターゲットやテーマに絞って書いているというよりは、その時その時で英国で起こっていることを書かれているような気がしました。
ここ数年の英国ではEU離脱や世界中で蔓延しているコロナウイルスなど歴史的な大きな出来事が続いています。
これこそ題名にもある「ブロークン・ブリテン(壊れた英国)」というのにもつながっているんだと思います。

ブレイディみかこさんもあとがきで書かれていますが、そんな激動の時代の出来事を記録しておくスナップ写真のような本だと思いました。

右翼と左翼

今回今までのブレイディみかこさんの本よりも更に「右翼」と「左翼」について書かれている印象がありました。
実際に本の中では「右」「左」や「レフト」「ライト」、「保守派」などといった表現で様々な部分に出てきます。

読んでいて感じたのは英国では日本以上に「右翼」「左翼」というところが意識されているのかなと思いました。
人々の会話の中にも「レフト」「ライト」という言葉が多く出てきていた印象です。
これはブレグジット(EU離脱)など様々な出来事が原因で、もともと今まであった意見の違いなどがはっきりと2分化されてしまった影響もあるのではないかと思います。

そして時代の変化とともに両者の立ち位置や世間からの印象なども変わってきているということが書かれており興味深かったです。

まとめ

ブレイディみかこさんの文章の上手さもあってとても読みやすいですが、内容は実際に英国で今起こっている問題がぎっしり詰まっていました。

また英国だけの問題ではないものもたくさんありました。
全世界を巻き込んでいるコロナウイルスだけでなく、つい最近日本でも問題として取り上げられるようになった、生活に余裕がなく生理用品が十分に買えない「生理貧困」についても2018年の時点で書かれています。

海外で起きていることを通して、自分たちのいる日本についても考えることができるのかもしれないと思いました。
とても読みやすい本ですので、みなさんもぜひ読んでみてください。

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