まずは仮説から始めればうまくいく 内田和成「仮説思考」 【本・感想】

2020年6月25日

買ったばかりのキムチを床にぶちまけて床はレッド、心はブルーのべーやんです。

私の本の選び方は、買う本を決めずに本屋さんでいろいろ見て悩んで決めるパターンと人からおすすめを聞いて買うパターンの2つがあります。ちなみにあまりネットは使わないです。
前者のいいところは自分の興味があるものを深掘りできたり、たくさんの本を見て選ぶので思わぬ出会いがあるところです。では後者はというと、自分では選ばないようなジャンルや内容の本と出合える可能性があるところです。どうしても自分で選ぶと好きな本に偏ってしまうので、こちらもとても大事だと思っています。

今回ご紹介する本は昔尊敬する上司におすすめされて呼んだのですが、その当時は難しくてなんとなく読み切って満足をしてしまった本です。最近読み返したら実際に生かせるところがたくさんあると思ったので取り上げさせていただきました。
そんな内田和成さんの「仮説思考」をご紹介します。

こんな人におすすめ

・効率よく仕事がしたい人
・正しい答えが見ただけで分かるようになりたい人
・「仮説を立てる」という言葉が大好きな人

内田和成さんと仮説思考

筆者の内田和成さんはボストンコンサルティンググループ(BCG)にてBCG日本代表を経てシニアアドバイザーをされていた方です。

今では仮説思考を使いこなす内田さんですが、新人コンサルタントの時は情報収集や分析作業に時間がかかっており、問題の本質に到達するまでに膨大な時間がかかっていたそうです。そんなとき先輩コンサルタントからこの仮説思考を学んで実践してきたことで結果を出すことができたそうです。実はコンサルタントの世界では「仮説」という言葉が根付いているそうです。
この本ではそんな仮説思考の考え方から実践の仕方までが紹介されています。

仮説思考とは

考え方には「網羅思考」と「仮説思考」の二つがあります。
網羅思考はあらゆる局面から調査、分析を行いその結果をベースに結果を導く方法です。一方仮説思考は物事を答えから考える方法です。
網羅思考ではすべてを理解しないと先に進めないが、仮説思考では無駄な分析や情報収集の必要がなくなり効率が良くなります。もし仮説が間違っていても、その仮説が正しいという情報が集まらないためすぐに間違いに気づき修正することができるので、結果として網羅的に行うよりもずっと早く結果を出せるのです。
ちなみに仮説思考力が高くなると見ただけで答えがわかるようになる、そんな実例が紹介されています。

ここで面白いのが頭の良い人が多い企業ほど網羅思考の傾向が強いそうです。すべてを試して完璧な答えを出したいという気持ちがあるのでしょうが、結果的には理屈先行で意思決定に時間がかかったり、人の提案に対して否定から入る傾向があると書かれています。

仮説思考を身につけるためのトレーニング

仮説思考を身につけるトレーニングとして
 1. So What? を常に考える
 2. なぜを繰り返す
の2つの方法が紹介されています。

1.のSo What?は日本語にすると「だから何?」となります。身の回りにある現象が起きたときに、それが何を意味するかと考え続ける方法です。

2.はBCGで実際に行われている方法で、BCGでは最低5回「なぜ」を繰り返すそうです。
例えば
「なぜ私はモテないのか」
という課題に対して「なぜ」を繰り返すことで原因と打ち手を考えます。

<一段目>「なぜ私はモテないのか」
 「顔がひどい」
 「性格が悪い」(こちらを深掘り)
 「あまりにも足が短すぎる」
<二段目>「なぜ性格が悪いのか」
 「人と比べて卑屈になっている」(こちらを深掘り)
 「まわりの性格が悪い人の影響を受けている」
<三段目>「なぜ人と比べて卑屈になるのか」
 「自分に自信がない」(こちらを深掘り)
 「卑屈が自分らしいと思っている」
<四段目>「なぜ自分に自信がないのか」
 「成功体験が少ない、挫折体験が多い」
 「まわりにすごい人が多く、比較されたため」
 「否定されることが多かった」(こちらを深掘り)
<五段目>「なぜ否定されることが多かったのか」
 「人とは違う独特な感性を持っていた」
 「自分が強く意見の衝突が多かった」
 「業界的、専門的にまず否定から入る人が多かった」

はい、例題ですが書いてて心が折れました。あくまで例なので私のことじゃないですよ、ええ。
それはさておき、ここから問題の本質や改善方法が見えてきます。
例えば意見の衝突に関しては私も相手の意見を多様性として認められず否定をしてしまっていたための反応の結果とも考えられます。そこを改善するためにまずは日との意見を否定するのではなく「そういう考えもあるよね」と一度受け入れて考える。このような改善が最終的に「モテない」という問題の解決につながるという方法です。

やってみると結構たいへんですが、確かにこれを日常的に行っていれば力はつきそうです。

まとめ

コンサルタントを長年やってきた方の本だから、なんだか難しそう。私も最初はそんな風に思っていました。ですが内田さんはこの本の中で「失敗を積み重ねながら仮説思考は進化する」とおっしゃられています。仕事の進め方が遅いと悩んでいる方はこの本を読んで、まず仮説思考を実践してみてはいかがでしょうか。