ただの炎上商法なんかじゃない!! 西野亮廣 「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」

2020年5月2日

みなさん西野亮廣さんにどんなイメージをお持ちですか?

フルネームでピンとこない人もいらっしゃるかもしれませんが、お笑い芸人キングコングの西野さんというとわかりやすいでしょうか。

正直私は芸人活動が主だったときは好きでしたが、絵本を作り出したあたりから過激な発言が多く、尖っているというよりは「斜に構えた感じの悪い人」という印象が最近は強くなっていました。
芸能人、一般人問わずいろんな人とやりあってTwitterが炎上したり、インタビューの途中で帰ったりということを見聞きしてそのように感じていたのかもしれません。

ですが知らないで批判するのもやだなと思い、西野さんの本「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」を読んでみて印象がガラッと変わりました。端的に言えば好きになりました。

今回は考え方お金の勉強になる本「革命のファンファーレ」をご紹介します。

こんな人におすすめ

・いろいろなことに新しい手法で挑戦していきたい人
・周りの意見に左右されすぎずに、自分の信じたことに取り組みたい人
・広告、宣伝の方法について学びたい人
・お金とは何かを学ぶきっかけを探している人

概要

この本では西野さんの絵本「えんとつ町のプペル」と、この本「革命のファンファーレ」の制作と販売における戦略が紹介されています。

「えんとつ町のプペル」の作り方に関しては西野さんの本「魔法のコンパス 道なき道の歩き方」でも書かれているそうで、本書ではクラウドファンディングでお金を集める方法の簡単なおさらいから入っています。
(ちなみに魔法のコンパスについては私は未読です。)

その後は学校で教えてもらえないお金の話や、広告はどのようにすればよいか、時代や環境の変化によるものを売る方法の変化などが解説されています。

ページは310ページほどですが、大きな文字で1ページ章名が入ったり、空白の部分も多く、また何より文章が面白くすぐに読み終わってしまうと思います。
「アホをこじらせて来春まで寝込めばいい。」というフレーズが何回か出てきますが、個人的にはここがお気に入りです。

ちなみに私は子どもいませんが、この本を読んで興味が出てしまい、つい「えんとつ町のプペル」も買ってしまいました。
絵がとてもいいですし、お話もすてきでした。

さまざまな広告の形

本の名前にもある通り広告について西野さんが実際にやってきたことが書かれています。

えんとつ町のプペルにおける広告は最初は渋谷駅の看板枠を買って大々的にPRをしようと考えたそうですが、実際にはそうはしないで別の形で宣伝をしました。
それは「音楽」で広告を作ったのです。
理由は絵本は5年後も10年後売れるものなので、看板のような刹那的なものでなく広告効果が続くものをと考えてのことだそうです。

また、現代において宣伝力は信用力であり、信用力という観点では口コミが最強なのだそうです。
「いかに口コミさせるか」が勝負であり、「自分一人で広告するのではなく、”広告させる”ことが大切だ」とも書かれています。
この考えから、SNSにアップさせるような取り組みをはじめとした、広告させるための様々な活動が紹介されていました。

時代が変われば、広告も時代に合わせて変化していく必要があるということですね。

炎上商法との明確な違い

広告の話の中でアンチを手放してはいけないと書かれています。

西野さんは批判のコメントが寄せられたら片っ端からリツイート&シェア、批判する人たちに「同じ声を上げている仲間がいますよー」と勢いに乗せます。
議論ほどコストパフォーマンスが良い宣伝はなく、反対派のエネルギーほど使えるものはない。オセロの角は押さえているので、他のところをたくさん取らせて最後に角に石を置けばいいと書かれています。

炎上して話題になればいいやという炎上商法とは違い、「議論」というところに重きを置かれているところは、ただの炎上商法との明確な違いだと思いました。

これ以外にもオンラインサロンの話などを例に炎上商法との違いが説明されていて、よく分かりました。

「えんとつ町のプペル」の無料公開が壊したもの

この本で特に私が印象深かったのが、絵本「えんとつ町のプペル」を全編ネットで無料公開したことです。
この出来事は当時ニュースでも取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。

この動きには世間からの批判も多く上がりました。
「無料で公開してしまうとクリエイターにお金が落ちなくなってしまう」などです。

ですが西野さんは「無料にした方が売り上げが伸びる」と判断し、実際に無料公開した後売り上げが上がったのです。
ではその戦略とは何だったのでしょうか?

これは「フリーミアム戦略」というもので、
「基本的な製品やサービスは無料で適用し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデル」
だそうです。
昔からあるデパ地下の試食と同じですが、それが今インターネットと合わさって化けました。

一つはデータのため試食とは違っていくら配ってもお金がかからないということ。
もう一つは売れるのは試食と同じ確率だとしても、母数が圧倒的に多いことです。

特に絵本は昔から同じものがずっと読まれる傾向にあります。(はらぺこあおむしなど)
それは忙しいお母さんが本屋でいろいろなものを読んでよいものを選ぶという時間がないため、自分が子どものころに読んだものを選ぶためだそうです。
そこで西野さんはネットで絵本を公開することにより、まずはお母さんに繰り返し試し読みをしてもらうことにしました。
ただ試し読みは縦スクロールにすることでタブレットでの読み聞かせには使いにくいようにして、気に入った場合は実際に本を買ってもらうようにしたのです。

この手法を西野さんはこの本「革命のファンファーレ」でも取り入れています。
こちらは全編無料公開ではなく一部を無料公開するというものだが、試し読みをするであろう最初の部分をかなりのページを公開しています。
実際に西野さんのHPで公開されているものがこちら

最近では無料公開が本に限らず増えてきています。もちろん西野さんの影響だけではないと思いますが、影響を与えた一つの出来事だったことに間違いはないと思います。
これにより今までのエンタメ社会の常識が壊れ、完全な実力主義になりました。
無料公開によりユーザーは善し悪しを無料で判断できるようになってしまったのです。
そうなると、実力のあるクリエイターのものは売れ、そうでないものは売れなくなるという構造になっていくのです。

「えんとつ町のプペル」の無料公開は業界やものの売り方に大きな影響を与えたのです。

サイン本がネットで買える!?

本の中でも触れらているのですが、西野さんのサイン本がネットで買えます。
転売等ではなくご本人が販売されています。
ちなみに西野さんは発売当初は本にサインをするために毎日朝サインを書き続けていたそうです。

しかも驚きなのが価格です。
送料込みで税込み1800円です!!
ちなみにもともとが税抜1389円なので、消費税の10%を足すと1527円。ほとんど値段が変わらないじゃないですか!?

ということで私もすでに一冊持っていましたが、もう一冊購入してしまいました。
タイミングによって変わるとは思いますが、私の場合は一週間もたたずに送られてきました。
ちなみに吉本のスタッフさんがあて名書きして送っていらっしゃるそうです。

「革命のファンファーレ」のサイン本の購入はこちらから

ちなみにこのサイトでは西野さんの他の本もサイン入りで売られています。
気になる方はチャックしてみてください。

まとめ

冒頭でも書いた通り私はこの本を読むまであまり西野さんのことを好きではありませんでした。
ですが本を読んで印象がガラッと変わりました。
単に炎上商法をしたり斜に構えた態度をとっているのではなく、常人とは比べ物にならないほど考え、努力をされているということがわかりました。

今ではサイン本を買うくらいにすっかりファンです。笑
特に本の「おわりに」の読者へのエールがとても響きました。

内容的にも今の時代に物を売るためにはどうすればいいか、お金を集めて何かをするにはどうすればいいかということの勉強になりました。

西野さんのファンはもちろん、西野さんのことが好きでない人や興味がない人にもお勧めしたい一冊です。

あなたも革命のファンファーレを鳴らしませんか?