将棋に「王将」と「玉将」があるのはなぜ?

将棋の駒に「王将」という物があります。

将棋を見たことがある人ならご存じだと思うのですが、通常の駒はお互いに同じ駒を同じ数を持てるようになっています。
ですが王将は1つしかなく、もう1つは「玉将(ぎょくしょう)」という駒になっています。
そこは王将2つで良くない?と思うのですが、今回はこの「王将」と「玉将」の違いについてご紹介します。

「王将」と「玉将」の共通点

王将」と「玉将」はどちらも相手の駒を取ったら勝ち、取られたら負けという役割です。
(正確には「王手されたら放置してはいけない」というルールに違反するため、「反則負け」という扱いになります。)

相手の「王将」や「玉将」を次の手で取れる状態になったときには「王手!」と宣言をするのをドラマなどからイメージされるのではないでしょうか。
これは取れる駒が「王将」でも「玉将」でもどちらも「手」です。(「玉手」という言葉はありません)

あと実はこの「王手」はルール上宣言をしなくても良いです。
というかプロ棋士の対局では言っている人はいないです。(もしかしたら少人数いらっしゃるかもしれませんが。)
一般の方でなかなか気にされる方も少ないとは思いますが、ある程度指せる人は王手なのは見ればわかりますし、逆に気が散るから言わないでほしいという方もいらっしゃるみたいです。

「UNO」における「UNO!」っていう宣言とは違うので注意しましょう。

「王将」と「玉将」の動ける範囲は、自分の縦横斜め1マスです。

また将棋では相手の敵陣に入るなどした時に成る(駒を裏返して強くなる)ことができますが、「王将」と「玉将」は成ることができません。
(ちなみに金も成ることはできません。)

チェスで言うところの「キング」と同じ役割です。
キングと同じと言うと、ますます両方「王」でいいんじゃない?と思いますよね。

「王将」と「玉将」の違い

まずは「王将」と「玉将」の違いについてご紹介していきます。
いや「、」があるかないかとか、そういう話じゃないですよ。

使い方の明確な違いは「王将」は上位の人、「玉将」は下位の人が使う駒となっています。
わかりやすいのはプロで、段位が高い人が「王将」、段位が低い人が「玉将」を使います。

逆に言えばその他は役割としてはどちらも同じになっています。

昔は玉将しかなかった?

ここまで読むと「玉将って王将のまがい物じゃないの?」って感じがしませんか?
ですが実は、昔は「玉将」しかなかったと言われています。

将棋はもともとは「玉」「金」「銀」など宝を奪い合う戦いのゲームでした。
また「桂」は香辛料の一種、「香」はお香のことであり、これらも昔は高価なものとされていました。

なのでチェスの駒とは本質的に意味合いが異なってくるのです。
(そう考えると宝石で敵陣を攻めるというのもちょっと不思議な気もしますが。。。)


ではなぜ「王将」ができたのかと言うと、これに関しては諸説あるみたいです。
よく聞くのは豊臣秀吉が「宝の奪い合い」よりも「戦い」を重視していたため、「王将」という駒を作って「王」の意味を持たせたという説です。

まとめ

「玉将」がもともとあったというのは驚きですよね。
単に王と混ざらないように玉も用意したんじゃないかと思っている方も多かったのではないでしょうか?

古くからある将棋だからこそ日本の歴史と結びついていて面白いと思いました。
みなさんも将棋を指すときには思い出してみてください。