『良し悪し』よりも『好き嫌い』で生きる 楠木建「すべては好き嫌いから始まる」【本・感想】

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嫌い クッキー

今回ご紹介する本はどんな本かと言いますと、上のようなことが書かれている本です。
いかがでしょうか、興味を持っていただけましたでしょうか?

なかなかこれだけ見るとシュールですよね。
これはこの本の著者の楠木建さんの好き嫌いです。

ということで楠木建の「好き嫌い」がたくさん詰まった本「すべては好き嫌いから始まる」をご紹介します。

こんな人におすすめ

・「良し悪し」で判断する、されるのに疲れた人
・「好きこそ物の上手なれ」肯定派の人
・仕事で結果が出ない、評価されずに悩んでいる人

内容

この本は冒頭でもご紹介した通り、著者の楠木建さんの好き嫌いがひたすら書かれている本です。
と言っても好き嫌いが羅列されているわけではなく、いろんな好き嫌いをテーマにご自身の考えを書かれています。
(単純に好き嫌いを羅列している本というのもシュールで見てみたい気もしますが…)

ちなみに楠木建さんは経営学を研究されている方で、一橋ビジネススクールの教授をされています。

本書は3章構成となっていて、それぞれ「仕事」「会社」「世の中」を「好き嫌い」を通して考える内容
になっています。
各節の最初には楠さんの「好き嫌い」が書いてあり、それをテーマに話が広げられています。

「好き嫌い族」と「良し悪し族」

まずこの本で序盤に出てくるのが「好き嫌い族」「良し悪し族」です。

これは読んで字のごとく物事を好き嫌いで判断する人たちを「好き嫌い族」、良し悪しで判断する人たちを「良し悪し族」と呼んでいます。

楠木さんは「良し悪しは氷山の一角で、その下の見えていない部分が好き嫌い」と書いています。
ここでいう氷山の上の部分の善し悪しとは、法律で定められているような普遍的なことになります。
「良し悪し族」はこの氷山の上の部分が大きい方が良いと考えており、どんどん「良し悪し」で判断する範囲を広げていこうとするのです。

本書で書かれている2つの違いを簡単にまとめると、価値観の違いなどに対して「自分は嫌いだけど個人の好き嫌いだからねー」と考えられるのが好き嫌い族、「いや○○であるべき!」という自分の正解に当てはまっていないと気が済まないのが良し悪し族、と書かれています。

今も昔も「良し悪し族」がたくさんいて大変であり、好き嫌い族の方が過ごしやすいと思うよ、といろんな例を題材に書かれています。

「努力しなきゃ…」という仕事は向いてない??

楠さんは「努力しなきゃ…」と思った時点でその仕事は向いていないと書かれています。
(そういう仕事はうまくいったことがないとか)
とは言え努力することが間違いだということではありません。

ポイントは努力かどうかは当事者の主観的認知の問題というところだそうです。
理想は「努力を努力と思わない状態」、いわゆる「努力の娯楽化」です。

趣味などで好きで夢中になっていることは、思わず時間を忘れて打ち込んだり練習したりしてしまいますよね。
まさにそういう状態のことです。

これこそ「好きこその物の上手なれ」であり、「努力」というよりも「凝っている」という方がしっくりくると書かれています。

「○○しなきゃ…」と思っていることよりも「○○したい!」と思えることの方が向いているのかもしれません。

まとめ

「好きこその物の上手なれ」という言葉が個人的にずっと好きだったのですが、この本を読んでよりしっくりくるようになりました。

「好き嫌い」で考えることによって物事を難しくしすぎず、また他の人との違いも過度に気になることは無くなり、楽に過ごせるようになるのではないかなと思いました。

また本書の魅力のひとつとして楠木さんの独特のユーモアがあると思います。
教授として文章がうまいのは言うまでもないのですが、それだけでなくちょくちょく小ボケやセルフツッコミが入っていて読んでいて飽きません。
少し難しい内容でも抵抗感なく読めるのは楠木さんのセンスによるものだと思いました。

みなさんもこの本を読んで「好き嫌い族」を検討してみてはいかがでしょうか?