職業の枠にとらわれない星野源の「働く」が詰まった本「働く男」【本・感想】

「星野源という男の職業は何?」
そう聞かれるといっぱいありすぎて一言では表せません。

今回はそんな若き頃の源さんの「働く」についてが詰まった本「働く男」をご紹介します。

どんな本?

「働く男」は星野源さんの2冊目のエッセイ集で、単行本は2013年、文庫本は2015年に発売されています。
冒頭でも述べたようにテーマは「働く」です。

源さんは「音楽家」「俳優」「文筆家」など様々顔を持っており、本書ではそんな側面が「書く男」「歌う男」「演じる男」という章に分けて書かれています。

書く男

この章は2010年から2012年まで雑誌「POPEYE(ポパイ)」で連載していた映画コラム「ひざの上の映画館」がメインです。

これは新作の映画の感想を書くというコラムですが、半分くらいはちょっとだけ映画に絡んだ関係ない話が楽しめます。
また源さんがお腹が弱いため映画館で鑑賞するのが難しいということもあり、DVDを貸してもらえる映画のみ取り上げていたため、有名どころ以外の映画も紹介されています。

またこの他に2006年に文芸誌に載った「急須」と、2010年に女性誌に掲載された「モニカ病」が収録されています。

歌う男

源さんが書籍版発売の2012年までに作成した楽曲を一挙に振り返る、書き下ろしのコーナーです。
サケロック時代の楽曲から、1stシングル「くだらないのなかに」を含む様々な楽曲のエピソードが紹介されています。
ここでは2012年にリリースされた4thシングル「知らない」までの楽曲が取り上げられています。

星野源名義での曲からファンになった方も、これを読んだらサケロック時代の曲も聴きたくなるかもしれません。

また「適当に歌ってみよう!」というコーナーもあり、ここでは楽曲の歌詞に源さんの直筆でギターのコードとアドバイス、あと関係ない話と落書きが書かれています。
楽曲は「くだらないのなかに」「くせのうた」「夢の外へ」「バイト」の4曲です。

演じる男

ここでは源さんの2012年までの俳優としての主な出演作品の年表に、源さんの直筆でその作品へのコメントやそのころ何があったかなどが書かれています。
意外と出演されているのを知らない作品もたくさんあって「え、あれにも出てたの!?」と思うようなものもあって面白かったです。

俺を支える55の○○

上の大きな3つの章とは別に「俺を支える55の○○」というコーナーがあります。
これは幼少期から書籍版の「働く男」執筆時の2012年までに源さんが影響を受けたものや好きなものを55個上げて、簡単にコメントするというものです。

細野晴臣さんやユニコーンなどの音楽関係はもちろんのこと、「らき☆すた」「ゆるゆり」などのアニメ、ゲームの「メタルギアソリッド」、そしてなぜか「前バリ」などジャンル問わず色々なものが入っています。

文庫本の追加要素

文庫本を出版するにあたって単行本から大幅に加筆修正がされています。
文章も細かく修正されているようですが、ここでは代表的な変更点をご紹介します。

「はじめに」と「あとがき」

まずは「はじめに」と「あとがき」が単行本用のものになっています。
実際に本に載っている文章が書かれたのは2010年~2012年くらいの内容が主なので、2015年の源さんが昔を振り返るような内容になっています。

特に源さんはこの本の単行本が出版された直後にくも膜下出血で倒れられており、働くことなど様々なことに関して考えが変わったとおっしゃっています。
(その時の詳しい内容は「よみがえる変態」に書かれています。)

変わったものと変わらないものがあり、このころがあったから今の自分があると書かれており、今の源さんとの違いと共通点を楽しむことができるようになっています。

ちなみに「はじめに」の書き出しはまさかの「働きたくない。」です。

星野源×又吉直樹 「働く男」同士対談

こちらは文庫本化にあたって追加された目玉コーナーになっています。
ここではピースの又吉直樹さんと「働く」をテーマに対談された内容が20ページ以上にわたって書かれています。

色々なことをお話しされていてとても内容が濃いのですが、特に「音楽家、俳優、文筆家」「芸人、作家」という複数の肩書を持っているお二人だからできる「職業の枠はいらない」というお話が印象的でした。

お二人の共通点が多いことが意外で面白かったです。
最近では星野源のオールナイトニッポンのスペシャルウィークでゲストとして又吉さんをお呼びしたりと、今でも交流が続いているようです。

作った曲を振り返ろう! その後のリスト

単行本発売後にリリースしたアルバムとシングルが簡単に振り返られています。

星野源名義では3rdアルバムの「Stranger」からシングルの「SUN」まで、またSAKEROCKのラストアルバム「SAYONARA」などの裏話が知れますよ。

まとめ

何に対してもストイックに取り組んでこられた源さんの若いころを知れる本でした。
源さんの好きなものや曲についての裏話などもたくさんあるので、これだけで源さんのファンなら貝だと思います。

また「働く」ということについての本としてもとても面白かったです。
今社会人として働いている人も、これから働くことになる学生さんも、今まで働いてきた人にもおすすめできます。

文庫本化されてさらに読みやすくなったので、気になった方はぜひ読んでみてください。