日本における外国人問題を知るきっかけに ブエノス・ディアス、ニッポン―外国人が生きる「もうひとつのニッポン」【本・感想】

日本は過ごしやすい国だと思いますか?
実際様々な問題はあれど、多くの日本人にとって日本は過ごしやすい国なのではないでしょうか。

ですが一方で、外国人に対してはどうでしょうか?
外国人には一概に過ごしやすい国とは言えないかもしれません。

今回は日本が抱えている様々な外国人問題を取り扱った本「ブエノス・ディアス、ニッポン」をご紹介します。

こんな人におすすめ

  • 日本の外国人問題に興味を持ち始めた人
  • 外国人の方と学習、仕事、生活をする機会がある人

ブエノス・ディアス・ニッポン とは?

「ブエノス・ディアス・ニッポン」とは、弁護士の山口元一(ペンネーム:ななころびやおき)さんが月刊ラティーナで2001年から2005年に連載していた「ブエノス・ディアス、ニッポン」と、同じ弁護士事務所の真島まどかさんと共著の2005年に短期連載した「ブエノス・ディアス、ニッポン・外伝」を1冊にまとめた本です。
単行本自体は2005年に発売されています。

山口さんは外国人の方の弁護を行うことが多く、その多くが在留資格、俗に言う「ビザ」に関する問題です。
本書ではそんな様々な「外国人問題」が具体的なエピソードを紹介する形で書かれています。


ちなみに「ブエノスディアス」とはスペイン語で「おはよう」の意味です。
山口さんはスペイン語が話せるようで、スペイン語圏の方の弁護をご担当されることも多かったことから「ブエノスディアス」が題名に使われているんだと思います。

テーマは日本における様々な外国人問題

先述の通り本書で扱われるのは、日本における様々な外国人問題です。

日本で外国人の方が在留資格を得るのはとても難しく、これは世界中の国の中でも厳しい方だそうです。
そのため資格がない状態で在留資格を偽って生活したり、資格の期間が切れオーバーステイで生活している方もたくさんいます。
そんな人たちは摘発されてしまうと母国に強制送還されてしまいます。
それは十数年日本で生活をしていて、母国に居場所がもうない人でも関係なくです。
そんな様々な事情で日本に残りたい外国人の方の弁護を山口さんは多くされており、日本の外国人に対する対応の問題を書かれています。

また学習の面でも大きな問題があります。
日本語は漢字があるせいで言語の習得がかなり難しいとされています。
日本では小中学校の義務教育は基本的に年齢に応じて学習内容が決まっているので、日本語がわからない状態で日本に来た外国人の子どもはどうしても置いていかれ、学校に行かなくなってしまう子もたくさんいるそうです。
このことが原因で様々なトラブルが発生したり、子どもの学びの機会を損失させてしまっています。

多くの日本人がこのような日本の外国人問題を知らない方が多いと思います。
この本はそんな問題を知るきっかけになる本だと思います。

知識がない人でも読みやすい!

この本で取り扱う問題は専門的な内容がとても多いです。
ですが、難しい言葉は細かく解説が入るので知識が無くても理解できるようになっています。
(解説の文字がめちゃくちゃ小さいので読むのがちょっと大変ですが…)

また実際のエピソードをもとに書かれているので、イメージがしやすくなっています。
実際私も外国人問題は特に詳しくもなく予備知識もほとんどなかったのですが、この本の内容はすんなりと理解することができました。

まとめ

発売されたは2005年で、それ以前に書かれた内容もたくさあるので現在の状況とは異なるところも多々あると思います。
ですが、根本的に外国人の方の日本の在留資格の取得の難しさや、日本での労働や学習のハードルの高さは現在でも解消されていません。
そしてこのような問題を解決するためには、一人でも多く現在の日本で暮らす外国人の方の状況を正しく知る必要があると思います。

今まで日本における外国人問題をあまり考えたことがなかった方でもわかりやすい内容になっているので、みなさんもぜひ読んでこれから知っていくきっかけにしてみてください。