最新のレンズに勝る表現の銘玉オールドレンズ「flektogon 35mm f2.4」

2020年10月24日

カメラ好きなら一度は聞いたことがあるであろう「Carl Zeiss(カール ツァイス)」のレンズがどうしても欲しかったので買ってみました。

と言っても最新のというか新品で売っているものではなく、オールドレンズの「flektogon 35mm f2.4」を買いました。
このレンズがなんとも素晴らしいレンズで感動したので、今回はその魅力を紹介していきたいと思います。

Carl Zeiss Jena とは

flektogon 35mm f2.4」は「Carl Zeiss Jena(カール ツァイツ イエナ)」 から発売されたレンズです。
レンズについてご紹介する前に、ちょっとだけ販売元の Carl Zeiss Jena についてご紹介します。

Carl Zeiss は聞いたことあるけど Carl Zeiss Jena の「Jena」ってなに?って思う方も多いかもしれません。
これにはCarl Zeissがドイツのメーカーであることが大きく関係しています。

Carl Zeiss は昔から光学機器の強い会社として名を馳せていました。
ですが第二次世界大戦に負けたドイツは東ドイツと西ドイツに分かれてしまいます。
ベルリンの壁で有名なあの出来事です。

Carl Zeiss も東西に分断されてしまい、その際にそれぞれ西ドイツが「Carl Zeiss Opton(カール ツァイス オプトン)」、東ドイツが「Carl Zeiss Jena(カール ツァイツ イエナ)」と名乗るようになります。

その後商標の件で紆余曲折あって、Carl Zeiss Opton が Carl Zeiss を名乗るようになります。(Carl Zeiss Jena はそのままCarl Zeiss Jena)

現在では2社は再び1つになってCarl Zeiss として活動しています。

flektogon 35mm f2.4 とは

ということで今回ご紹介する「flektogon 35mm f2.4」は東ドイツで作られたレンズです。
ちなみに flektogon はフレクトゴンとかフレクタゴンと読みます。(私は前者派です)

flektogon には大きく分けて3つの世代があります。
それぞれ鏡筒の見た目が大きく違います。
第1世代は銀色(アルミ)、第2世代はゼブラ柄、第3世代は黒色です。

第1世代と第2世代はF値が2.8なのに対して第3世代はF2.4と若干明るくなっています。また第3世代は他の2つと比べると壊れにくいという利点があります。

特に壊れやすさに関しては古い世代のものは絞りをいじる際に気を付けないといけないらしく、私はすぐに壊してしまいそうだったので第3世代を選びました。

ちなみに私はYahooオークションで買ったのですが、3万円くらいしました。
オールドレンズの中ではちょっと高い方かもしれません。
(オールドレンズにはもっと高いものもたくさんありますが、めちゃくちゃ安いのもたくさんあるので…)

正面と横からの写真がこちらです。
若干レンズが紫色なのがこのレンズの特徴だと思います。
これは第3世代にだけ施されているマルチコーティングの色ではないかと思います。

また横には防音の壁のようなギザギザがついており、カメラに取り付けたときにアクセントになってオシャレです。

鏡筒はオールドレンズらしくプラスチックでできているので軽いですが、作りがしっかりとしているため安っぽさは一切感じません。
ここはさすが Carl Zeiss といった感じではないでしょうか。

焦点を調整するとレンズが伸びます。
レンズの状態にもよると思いますが、にゅーんと伸びる感じでスムーズに焦点の調整ができます。

この状態で絞りをいじると第1世代や第2世代だと壊れると聞いたことがあるのですが、今回私が使っている第3世代は問題なく絞りの変更ができます。

絞りのリングはクリック感のあるリングになっていて、カリカリカリという感じで心地よく調整ができます。

特徴的なのは絞りを絞ると六角形に絞られるところです。
この状態でイルミネーションなどを撮影すると六角形のボケができます。
狙ってみても面白いかもしれません。

私のX-T2に取り付けるとこんな感じです。

M42マウントのレンズなので、ミラーレスに取り付ける場合はM42のマウントアダプターが必要です。
私はRAYQUALのマウントアダプターを使っています。
RAYQUALのマウントアダプターの紹介記事はこちら

ちなみに普段はHAKUBAのねじ込み式のレンズフードを取り付けて、その上からレンズキャップをしています。

レンズフードに関してはΦ49mmの物であれば取り付けられると思います。
レンズキャップもこのレンズフードを付けていると簡単に取り付けられるので、この組み合わせはかなりおすすめです。

作例・使用感

富士フィルムのX-T2(APS-C)に取り付けて撮影しているので、焦点距離が1.5倍されています。
(35mm換算で52.5mmになっています)

F2.8かつ焦点距離も短いので、寄って取ればしっかりとボケます。
またマルチコーティングのおかげか、色のりがかなりいいです。

全体的にきれいにとれるので、正直オールドレンズと言われなければ気づかないくらいではないでしょうか?

さすがに100%逆光の状態ではフレアが発生してしまいますが、葉っぱなどで軽く遮ってやればコントラストの低下もそこまで大きくなく、きれいに撮影することができました。

あとこのレンズは暗いところ、深い色の表現がとてもきれいだと思います。
紅葉の写真も暗いところの色味がかなり気に入ってます。

明るいレンズなので、ISO感度を上げて頑張れば暗いところでも三脚なしで撮影できました。


今回のようにAPS-C機に取り付ければ35mm換算約50mmになるので、標準レンズとしてスナップ写真にも使いやすいと思いました。
もちろんフルサイズでも広角レンズとしてスナップで十分使えると思います。

まとめ

写りは最新のレンズとも争えるレベルの美しさだと思います。
一方でオールドレンズらしいクセや写りのの甘さなどを求めている人にはちょっと物足りないかもしれません。
クセ玉というよりも銘玉というのがふさわしいレンズだと思いました。

歴史のある Zeiss の flektogon をみなさんもぜひ使ってみてください。